【 ポスター・スライド作成術セミナー(第2回)】「”伝わりやすい” 研究プレゼンのためのロジック・デザインの基礎」を開催しました。 

研究者の必須スキル:研究プレゼン。研究内容を聞き手に理解しやすく伝えることは、研究者にとって欠かせないスキルです。専門的な内容を科学的に正確に伝えつつ、その研究の魅力を効果的に伝えることで、相手の共感を得ることができます。

*左の画像をクリックすると動画視聴できます(2025/5/31 まで)

2025年3月7日(金)16:00~17:00に、ZOOMによるオンライン形式で「ポスター・スライド作成術セミナー」を、異分野の人に向けて研究を伝える機会のある大学院生や、学生のスライド作りを指導する方を対象に、「伝わりやすい発表の特徴とは?」「効果的なプレゼンを行うための工夫とは?」といったポイントに焦点を当てて実施しました。

 本セミナーでは、研究スライドやポスターを見やすく、分かりやすいものにするための具体的な手法を学びました。特に、シンプルなデザインと明確なコントラストが重要であることを理解し、実際の修正例を用いてその効果を確認しました。

また、一般的なスライドの問題点についても、作成例を交えながら説明しました。初めてスライドを作成する学生がよく直面する課題として、以下のような点が挙げられました。

  1. 情報の整理が不十分 – 必要な情報が明確に伝わらない
  2. 視覚的に見づらい – 色使いやフォントの統一がされていない
  3. 専門用語が多すぎる – 聴衆が理解しにくい

これらの課題を解決するために、以下のポイントを意識することが推奨されました。

●要素間のコントラストを明確にする

 スライドのタイトルや内容に強弱をつけることで、視認性を向上させる方法を紹介しました。特に、背景と文字のコントラストを意識し、情報の重要度に応じて文字の大きさや色を調整することが効果的です。

シンプルで統一感のあるデザインを心がける

 派手なデザインよりも、落ち着いたデザインの方が情報が伝わりやすくなります。フォントや図形を統一し、過度な装飾(影・グラデーションなど)を避けることで、視覚的に整理されたスライドを作成できます。

 本セミナーで学んだポイントを意識しながら、今後のスライドやポスター作成に活かしていただければと思います。今後も、より伝わりやすい研究発表を目指していきましょう。

講師:大西真駿 氏
[ドイツ]マックスプランク老化生物学研究所 博士研究員


学生から事前提出いただいたスライドの実際の修正例では、ポスターの初期デザインと修正後のデザインを比較しました。情報の優先順位をつけ、視覚的にわかりやすく整理する方法が示されました。

情報を最小限に絞ったイントロダクションを心がける
聴衆の目線の動きを意識する
背景を説明するときの鉄則:イメージ図を挿入してみる

今回のセミナーでは、修士・博士学生のみならず、教員や研究員の方々を含め総勢126名よりご登録をいただき、多くのご質問をいただきました。以下、一部をご紹介いたします。

Q1: バイオ系の図はパワーポイントで作成していますか?無料で使えるツールやおすすめの作図方法を教えてください。
A1: イラスト作成には主にAdobe Illustratorを使用しています。無料のツールとしては、バイオ系の図を作成できるウェブサイトがいくつかあり、例えばBioRenderなどがあります。一部の機能は有料ですが、無料で使える素材もあるため活用可能です。また、バイオ系の実験機器やチャートをコピー&ペーストできる無料リソースもありますので、
セミナー終了後のアンケート回答者宛に情報をまとめて共有予定です。

Q2: スライドと読み上げ原稿のバランスはどうすれば良いですか?
A2: 原稿に書いた内容をすべてスライドに表示すると、情報量が多すぎて視認性が下がるため、スライドには名詞や動詞を中心としたキーワードのみを記載するのが効果的です。あたかもウィキペディアのような長文をスライドに載せるのではなく、要点を抽出して整理しましょう。詳細な内容は発表で説明し、スライドは補助的な役割を持たせるのがベストです。

Q3: イラストレーターの画像を出力する際、どの形式が最適ですか?
A3: Wordに貼り付ける際に色が変色する場合は、PDF形式で保存し、それをWordに貼り付けるのがおすすめです。JPEGやPNGに変換すると色が変わることがあるので、PDFをそのまま貼り付けると色を保持しやすくなります。また、MacユーザーはKeynoteに直接コピー&ペーストする方法もあります。
Q4: 【デザイン・レイアウト】効果的なポスターを作成する際に、どのようなデザイン要素を優先すれば良いのか分からず困っている。
A4: 研究発表のポスターは、落ち着いたデザインを意識し、統一感を持たせることが重要です。派手な色や過剰な装飾(影・グラデーション・過度な矢印)は避け、標準的な色使いとシンプルなレイアウトを心がけましょう。また、フォントや図形のスタイルを統一し、視覚的に整理されたデザインにすることで、聴衆が内容に集中しやすくなります。
Q5: 【情報の整理・構成】専門外の人にも理解してもらうための情報の整理や構成方法が分からない。
A: 異分野の人と交流する際は、共通の知識(最大公約数的な知識)を考え、それを基点に説明することが重要です。例えば、「ミトコンドリア」が馴染みのない人でも、「細胞」や「生命」といった概念は理解しやすいはずです。そのため、大きなスケールの話(生命・細胞)から始め、徐々に研究対象へと焦点を絞っていくことで、聴衆の理解をスムーズに導くことができます。
Q6: 【視覚的な表現】複雑なデータをどうやってシンプルかつ分かりやすく表現すれば良いか困っている。
A6: 実験結果を説明する際は、各データのつながりを意識して話すことが重要です。ただ単に「Aを行い、次にBを行い、その後Cを行った」と順番に述べるのではなく、なぜ次の実験を行ったのか、その仮説や目的を明確に伝えましょう。例えば、「Aの結果から◯◯の可能性を考え、Bを行った」といった論理の流れを示すことで、聴衆が迷子にならず、研究の意図を理解しやすくなります。特に、グラフを初めて見る相手には、縦軸と横軸の意味を明確に説明することが重要です。発表者自身は何度も実験を行い、グラフを見慣れていますが、聴衆は初めて見るため、軸の意味やデータの意図を丁寧に伝えましょう。一度表示した後も、要点をしっかり説明することが効果的です。

Q7: 【発表形式・工夫】聴衆の注意を引きつけるために、何を工夫すれば良いのかアイデアが浮かばない。
A6: 聴衆の注意を引くには、目線の動きを意識したスライド配置が重要です。視線が上下左右に忙しく動かないよう、キーワードをタイトルに含め、図を大きく表示し、補足説明は簡潔にまとめると効果的です。視線の流れを最小限に抑えることで、情報がスムーズに伝わり、聴衆の理解が深まります。


セミナー当日の発表資料を本セミナーの参加(申込)者、およびIDM登録学生に配布しております。

資料ご希望の方は、以下のGoogle Formよりお申込み下さい。(2025/3/31まで受付)

資料配布申込リンク:https://forms.gle/u1XfFCzDVXQnwNzA9

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